TOP > ベッドスタイルコラム > ベッドと私の楽しい生活 > 祖母の摩訶不思議な畳収納ベッド
私の祖母の部屋は10畳の洋室です。
広い吐き出しと、大きな窓が付いていて、とても明るい部屋です。
吐き出しは部屋の南側にあり、大きな窓は東に向いています。
冬でも、お日様さえ出ていれば、暖房なんて必要はありません。
まるでサンルームのように、ぽかぽかの暖かい空気が、すぐに部屋いっぱいに溢れます。
そんな洋室の中で、祖母はとても日本的な生活しています。
セミダブルの畳収納ベッドが、不思議なくらい和の雰囲気を醸し出しているのです。
日曜日の朝、私は何気なく、祖母の部屋へお邪魔しました。
すると祖母は、ちょうど布団を片付けているところでした。
畳ベッドの上に敷いた掛け布団を抱えて、クローゼットの中へ。
それから毛布に、敷き布団に、そして枕。
まるでそこは、畳の部屋かと見間違うような光景でした。
私が部屋に入ってきたことに気づくと、祖母は笑顔で私を、その畳ベッドの上へ
迎えてくれました。
畳ベッドの上に座布団を2枚置き、そして真ん中に、小さなちゃぶ台を出してきました。
祖母は電気ポットのお湯を急須に注ぎ、そして私にとても美味しい緑茶を入れてくれました。
傍らには、菓子鉢に入った煎餅もあります。
まるで日本間そのままの、おもてなしをしてくれました。
私はお茶を飲み、そして吐き出しから庭に出ました。
八重に咲いたピンクの椿の花がとても綺麗で、しばらくのあいだ、じっと眺めていました。
祖母はというと、いつの間に取り出してきたのか、畳ベッドの上で座椅子にもたれていました。
老眼鏡をかけて、新聞を読み始めています。
しばらくすると、うつらうつら、居眠りです。
こっくり、こっくりと首が前後し始めたので、私は慌ててクローゼットから毛布を
取り出してきました。
座椅子の角度を少し緩やかにして、祖母の体に、そっと毛布を掛けました。
暖かな日差しが、祖母の体の上に、ふうわりと降り注いでいます。
懐かしい、い草の香りに、私は、ふっと心が和みました。