TOP > ベッドスタイルコラム > ベッドと私の楽しい生活 > ロフトベッドから眺める夜空のぼたん雪
窓の外に、ぼたん雪が舞っています。
まるで桜の花びらのように、舞い降りてきます。
その光景を、私は、ロフトベッドから眺めています。
私が、このロフトベッドで眠るようになったのは、そう、ちょうど5年前の冬でした。
関東では、あまり雪が降ることはありません。
特に私が住んでいるような都心では、滅多にありえないのです。
それなのにその年の冬は、10センチもの雪が積もりました。
交通は全て麻痺してしまい、大都会の雪に対する脆さが露わになりました。
電車は止まってしまい、車のスリップ事故が多く発生しました。
それだけなら未だしも、歩いていての転倒事故というのが、100件近くもあったのです。
歩いていて転倒する…?と考えると、何か障害物にでも躓くことしか頭には浮かびません。
しかし実際には、雪に滑って転んでしまったのでした。
秋田出身の、その私の友人は、そんなニュースを聞いて大笑いしました。
たった10センチの雪で電車が動けなくなったことや、車が雪のためにスリップ事故を
起こしたこと以上に、それは笑えるというのでした。
確かに、履物の違いはあるそうです。
雪国では、長靴やブーツのほかの靴にも、ちゃんと滑り止めがついているそうなのです。
スニーカーにも、その滑り止めは付いていて、幾ら雪が降ったからといっても、
そう簡単には誰も転ばないのだそうです。
でなければ、集団登校の子どもたちなどは、雪のために全員が転んでしまうというのです。
でも、その友達は、転ばないためのアイテムは、靴だけではないといいます。
滑り止めプラス、歩き方、なのだそうです。
雪道を歩くには、それに適した歩き方があるそうです。
それは、雪国に住んでいる人たちには自然と身についているものなので、誰かに訊かれたとしても、
すぐにははっきりと答えられないのだそうです。
でもよく考えてみると、雪道は腰で歩いている…そうです。
いつも腰を中心にして歩いているので、もしも脚をとられたとしても、そんなに簡単には
転倒しないそうです。
そんなことを私に話してくれた、その友人は、フランス料理の修業のために、
パリに旅立ちました。
そして、それまで自分が使っていた大切なロフトベッドを、私に譲ってくれたのでした。
漆黒の闇に、宝石のようなぼたん雪が、煌めいています。
5年前の、あのときと同じぼたん雪が、きらきらと舞い降りています。