20色カラーのマットレスベッド(サイレントブラック)で眠ると

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ベッドと私の楽しい関係

20色カラーのマットレスベッド(サイレントブラック)で眠ると

サイレントブラックは、漆黒の闇です。
人生の何もかもを、すべて包括する色です。

そのサイレントブラックの、カバーを付けたマットレスベッドに、私は横になりました。
時刻はもう、真夜中の0時を、少し過ぎていました。

見えるのは、自分の手と…脚と…それから……。
目の前に、ぼんやりと明かりが灯りました。

その明かりは、徐々に、はっきりとしてきます。
大きく、力強く、自らを照らし出しました。

それはロウソクでした。
お皿の真ん中に立てられた、10センチほどの高さのロウソクの炎でした。

私の目が、少しずつ、そのロウソクの炎に慣れてきました。
すると、それまでは漆黒の闇だと思っていた周辺の様子が、少しずつ見え始めました。

真っ白で、小さなドーム型のその天井や壁は、まるで手作りのようでした。
でこぼことしていて、雪で押し固めたような……。

そう思ったとたん、目の前に、赤いセーターを着た女の子が現れました。
赤い毛糸の帽子に、赤いマフラーをしています。

「いくつ食べる」その女の子にいわれて、私は思わず、辺りを見廻しました。
けれど、他には誰もいません。

「ねえ、いくつ?」女の子が、不思議そうに、こっちを見ています。
いつの間にか、女の子の前には、火鉢があります。

そして火鉢の網の上には、お餅が乗っています。
「ねえ、あゆみちゃん、いくつ?」女の子は、私の名前を呼びました。

驚いた私は、自分の手を見てみました。
それは、まだ小さな、子どもの手でした。

長靴も、ズボンも、子ども用の小さなものです。
私は、着ていたジャンバーを、脱いでみました。

やはり、それも、子ども用の小さなものでした。
網の上のお餅が、ぷうーっと、膨らんできました。

「はい、あゆみちゃんの分、焼けたよ」
女の子は、箸でお餅を持ち上げると、私の目の前にあったお皿の上に置きました。

「私のは、あんこ餅なんだ」女の子は、自分のお皿にも、お餅を乗せました。
私は、お餅を、一口食べてみました。

ヨモギの香りが、口の中いっぱいに広がります。

「やっぱりいいね、かまくらって」
女の子が、ぽっかりと空いた穴から、外へ出ていきます。

私も、後を追って、外に出てみました。

透けるような、サイレントブラックの夜空いっぱいに、純白のぼたん雪が
きらきらと舞い降りています。

2012年2月19日 / タグ:[ , , ]