映画『私がクマにキレた理由』(その2)

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映画『私がクマにキレた理由』(その2)

インテリアが素晴らしい、映画『私がクマにキレた訳』に登場する二つのベッドルーム。まずは主人公アニー(スカーレット・ヨハンソン)が暮らすナニー(子守り)の部屋に注目しましょう。

上品で親切なマダムの元で、リッチな邸宅に住み込み、楽しく暮らしながら良い収入が得られると期待していたアニーは、自分の部屋に案内されて言葉を失います。

ゴージャスなマスターベッドルームや、金色に輝くゲスト・ルームとは雲泥の差。小さな部屋に、セミシングルベッドと小さな机のみの質素さ。
質素な小花模様のカバーが掛けられたベッドに腰を下ろすと「ギシッ」とスプリングがきしみます。雇い主のマダムからアニーへの「貴方は使用人。家族や客人のように大切に扱われる存在ではないことを理解なさい」というメッセージが即座に伝わるのです。

対して、夫婦のマスターベッドルームは広さといいインテリアといい、ため息が漏れるほど贅沢な雰囲気に満たされています。ベースとなる色はグレー。これは、ダブルベッドに並べて置かれた特大サイズのクッション二つとベッドカバーの色です。キッチンやエントランスの壁紙に使われているグレイッシュ・ブルーとは異なり、更に落ち着いた雰囲気です。その上に、アイボリーのクッションと光沢感のある黄色のクッションを重ねることにより、重すぎず軽すぎない、上品な豪華さが演出されています。

映画の大半を通して傲慢なマダムですが、元々の育ちの良さと誇り高さが現れている寝室です。

アニーが雇われた時、このマスターベッドルームには、6歳の息子の入室が許されていませんでした。マダムは世間体を繕うための慈善活動や夫の興味を引くためのお洒落に明け暮れて、息子と向き合うことから逃げていたのです。

その後、アニーからの真剣な訴えを受けて立ち止まり、生き方を考え直したマダムは、息子と自分のために家庭を顧みない夫との結婚に終止符を打ちます。母子二人になったマダムと少年。美しく整えられたダブルベッドの上で、親子揃ってクッションにもたれながら絵本を読むシーンは二人の幸せを象徴しており、悲壮感は一切ありません。

インテリアの美しさに目を奪われると同時に、ベッドを使った効果的な演出に感心する作品です。

2012年4月17日 / タグ:[ , ]