映画「ホリディ」の中のベッドルーム

映画『ホリデイ』にはアマンダ（キャメロン・ディアス）とアイリス（ケイト・ウィンスレット）という対照的な二人の女性のベッドルームが登場します。

アマンダはロサンゼルスにあるリッチな邸宅に住んでおり、彼女のベッドは贅沢なキングサイズで、寝具は高級感あふれるシンプル・シック。ライトやシェードはすべてリモコンで動かせるます。すべてを手にしているアマンダですが、感情的になることが苦手で、失恋しても涙が出てこないんです。

一方のアイリスは自尊心が低く、失恋すれば大声を上げて何時間でも泣いてしまいます。彼女が暮らすのは、ロンドン郊外の小さなコテージ。ロマンティックなデザインのパイプベッドには可愛らしいキルト。小さなクローゼットには清楚なワンピースが数着掛けられています。

異なる性格の二人の女性はインターネットを通して知り合い、それぞれが経験した失恋の傷を癒すため、お互いの家を二週間ほど交換することを決めます。簡単にまとめると「知らない土地で新たな恋が芽生え、二人とも成長し幸せを掴む！」という単純なストーリーです。

しかし、こうして二人の個性が明確に表現されたベッドルームに注目してみると、実はもっと奥が深い話なんじゃないか…と思います。ベッドルームの違いが二人の内面の違い。二人は寝室を交換することで、自分には縁遠かった世界を知り、浸り、変化していくのです。

リッチな寝室でのびのびと過ごしたアイリスは、短期間の間に自尊心を育てます。一方のアマンダは、気を紛らわしてくれるものが一切ない古風な女性の寝室で、自分の感情と向き合うことを覚え、素直になっていきます。

ベッドルームには人生を変える力があるのです！そんな視点で見ていただくと、より楽しめる映画ではないかと思います。

2012年3月27日 / タグ：[ ベッド, ベット, 寝室 ]