二段ベッドで繋がっている兄と私

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ベッドと私の楽しい関係

二段ベッドで繋がっている兄と私

二段ベッドの上が兄で、私は下でした。 
怖い夢を見ると、決まって私は下から、「お兄ちゃん」と兄を呼びました。

兄は、すぐに下を覗き込んで、「何だ?」と、声を掛けてくれます。
私が「夢を見たの」というと、兄は「またかよ」といいながら、階段を下りてきます。

私がベッドの端に寄ると、兄は私と並んで寝転びます。
そうして、その夜、兄は私と一緒に眠ってくれるのでした。

兄は中学性になり、二段ベッドは別々になりました。

10畳半の洋間を書棚で仕切り、兄は6畳のスペースに、そして私は、4畳半のスペースで
眠るようになりました。

その部屋は、最初から、そういうふうに使う予定でした。
だから、6畳用と4畳半用に、ドアもちゃんと2つ付いていました。

それでも、部屋を仕切ってある書棚の上部の空間は、繋がっていました。
兄の声は聞こえるし、気配もちゃんと感じることができました。

私はいつも兄がそばにいる、そう思うことができました。

怖い夢を見ても、学校で嫌なことがあっても、私のそばには兄がいる…そう思うだけで、
私は頑張ることができました。

そんな兄も、高校生になり、大学生になりました。
私も中学校を卒業し、高校に入学しました。

そしてこの春、大学を卒業した兄は、アフリカへ渡りました。
世界の子ども達を助けるのだと、ボランティア活動を始めたのです。

兄が使っていた二段ベッドの上は、今、兄の部屋の中でひっそりと眠っています。
両親は、10畳半の広い部屋の全てを、私の部屋として使ってもいいといいます。

しかし私は今でも、これまで通り、4畳半のスペースしか使っていません。

6畳の兄の部屋はそのままにして、ベッドも、書棚も、机も椅子も、何一つとして
兄の物を移動したりしませんでした。

今ではもう、私も大学生になりました。

二段ベッドの上と下で眠っていた、あのころのように、怖い夢を見ることも、
もうありません。

それでも、兄が使っていた二段ベッドの上が、そこに置いてあるだけで、私は何があっても
頑張れる気がします。

二段ベッドの下で眠っている私は、まだ何処かで兄と繋がっている…そんな気がするのです。

2012年2月15日 / タグ:[ , , ]