20色カラーのマットレスベッド(ワインレッド)で眠ると

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ベッドと私の楽しい関係

20色カラーのマットレスベッド(ワインレッド)で眠ると

一目惚れというのは、本当に不思議な現象です。

それまでは会ったこともなかったのに、出会ったその瞬間に、その人のことを好きになって
しまうのですから。

私が、その人と出会ったのは、夜のスナックでした。
その人は友達とカウンターにいて、私は私で友達とワインを飲んでいたのです。

私が座って居た場所の、隣の隣で彼は水割りを飲んでいました。
しかし私には、彼のことなど眼中にありませんでした。

ただマスターの渋い顔を眺めながら、友人との話に夢中でした。
マスターは白髪の紳士で、私と友人の会話の中に、ちょうど良い間隔で入ってきてくれました。

例えば、私たちの会話が途切れたその瞬間に、マスターは「趣味はなに?」と、
私に訊いてくるのです。

私が「陶芸」と答えると、マスターはすかさず友人にも、同じ質問をします。
そうして、私と友人は、再び楽しい会話を続けるのでした。

そんな時間が、1時間、2時間、と流れました。
私たちは、会話もワインも、充分に堪能しました。

そして、そろそろ帰ろうかと考えていた、その時でした。
マスターが私の前に、サラダの器を置いたのです。

「えっ?」と訝る私の顔を、その彼が、友人の隣から見ていました。
どうやら、そのサラダは、その彼が注文したもののようでした。

彼の顔を初めて、私は正視しました。
そして、その瞬間、何かを感じてしまったのです。

それが何だったのか、はっきりとは分かりません。

けれど、彼の顔というか、全体の雰囲気というか、魂というか、彼が持っている何かを、
そのときの私は感じていました。

私は慌てて、目の前のワイングラスを、手に取りました。
深く鮮やかなワインレッドのグラスを、一息に飲み干しました。

すると、どういうわけか彼が、そんな私を見て、拍手をしたのです。
私はマスターにワインのお変わりを注文し、それから彼と、初めて会話を交わしました。

ワインレッド色のカバーを掛けた、私のマットレスベッド。
このベッドカバーを掛けて眠った次の日の夜、私は彼と出会ったのでした。

2012年3月5日 / タグ:[ , , ]