映画『若草物語』(その1)

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映画『若草物語』(その1)

『若草物語』(オルコット原作)は、アメリカ南北戦争時代、アメリカ東部の町で、時代の流れに翻弄されながらも仲睦まじく暮らした四姉妹の物語を描いた作品です。時代を超えて多くの少女から愛される文学作品であり、アメリカやイギリスでは、映画やテレビ作品として幾度も映像化されています。

今回は、ジューン・アリソンが主役ジョーを演じた『若草物語』(1949)の中のベッドを振り返りましょう。

保守的なメグ、自由奔放なジョー、控えめなベス、目立ちたがり屋のエイミー。この作品が時代を超えて読み継がれているのは、現代に生きる女性たち、少女たちの誰もが、自分の持つ個性をこの四人の姉妹の誰かに見出せるからではないでしょう。

さて、この四人のベッドルームですが、長女と次女は個室、三女と四女は同室でベッドも一緒です。かつては、アメリカやイギリスの中流家庭では、姉妹がひとつの大きなベッドも共有するのは常識だったようです。

数々の名シーンが残る作品ですが、中でもベッドにまつわるシーンを注意深く見ると、登場人物の性格や姉妹の関係がより詳しく理解できる気がします。

例えば、お金持ちが集うパーティに招待された姉妹は「玉の輿を狙う、困窮した家の娘」と悪意のある陰口をたたかれます。屈辱的な仕打ちを受けた少女たちは、帰宅後、ひとつのベッドに集まり悔しがります。そして、世間からいかなる陰口をたたかれようとも、強く、誇り高く生きることを固く誓います。バラバラな個性の四姉妹ですが、根底では志を共にしていることが、明確にわかるシーンです。

また、姉妹の前ではいつも強気で男勝りのジョーですが、ベッド・タイムになると、精神的には、まだまだ尊敬する母親に甘えていたい、という気持ちが見え隠れしています。ろうそくを手に持ち、娘たちに「おやすみ」のキスをしにくる母親に対して、ジョーは思春期の娘らしく、世の中の在り方に対して困惑する気持ちを投げかけます。母親の方も、ジョーの性格を良く理解しているのか、ベッド・タイムという、二人できりで言葉を交わせる時を選ぶかのように、彼女の心に響く言葉を投げかけます。

ある日、生きる目的を見失い、力なくベッドに横たわってるジョーに、暗闇の中、母親は決定的な助言を与えます。

「世界に飛び出しなさい。この家から出てやりたいことに挑戦するのが、貴女らしく生きる道よ」

この時代の母親としては、驚愕に値する画期的な助言です。男女平等社会が確立した現代を生きる私たちの心にまで、母親の愛情が真に迫って伝わる名シーンです。

2012年5月14日 / タグ:[ , , ]