TOP > ベッドスタイルコラム > ベッドと私の楽しい生活 > どんど焼とロフトベッド
私の部屋のロフトベッドに寝転ぶと、神社が見えます。
町内にある神社で、名前を大岩神社といいます。
小さなお社ですが、とても歴史のある神社です。
参道をまっすぐに歩くと、急な階段がまるで壁のように立ち塞がります。
私がまだ小さかった頃、その急な階段の手すりに捕まりながら、必死になって
上った記憶があります。
私はまだ保育園の年長さんで、兄は小学校の6年生でした。
その年のお正月に、兄はロフトベッドを買いました。
その年に貰ったお年玉で、買ったのでした。
そのロフトベッドが、私の目には、とてもカッコよく見えました。
それはロフトベッド自体のカッコ良さもありましたが、兄が使っている、ということも
ありました。
とにかく私は、兄と同じロフトベッドが、欲しくて欲しくてたまりませんでした。
だから神様にお願いをするのだといって、その急な階段を震えながら上ったのです。
でも、両親は、まだ私には早すぎると思っていたようでした。
ロフトベッドのような高いところで眠るのは、危ないと思っていたのです。
でも私は、本気でした。どうしても、ロフトベッドが欲しくてたまらなかったのです。
私は、その年に貰ったお年玉には、一切、手をつけませんでした。
そうしてその次のお正月、私は、去年貰ったお年玉を合わせて、ロフトベッドを買いに
行くのだと、大岩神社へお願いに行ったのです。
あまりの私の頑固さに、とうとう両親も、根負けしてしまいました。
そうして私は、両親につれられて、家具屋さんへ行くことになったのです。
その日はちょうど1月15日で、大岩神社で、どんど焼が行われていました。
お年寄りたちが取り囲んだ円陣の中で、真っ赤な炎が、荒々しく立ち上っていました。
ごうごうと音が聞こえて、まるでその炎は生き物のようでした。
父が、家から持ってきたしめ縄やお守りを、炎の中に投げ入れました。
それらは一瞬にして炎に包まれ、そして、私たちはまた歩き出しました。
今でも、大岩神社を見るたびに、私はそのときのことを思い出します。