不意のお客様に折りたたみベッドを

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ベッドと私の楽しい関係

不意のお客様に折りたたみベッドを

折りたたみ傘はいつも小さく携帯していて、突然の雨の時に対応することができます。

そして折りたたみベッドはというと、いつもはコンパクトで場所をとらないのに、
不意の泊まり客に即座に対応することが可能です。

そんな不意の泊まり客というのが、私の場合いつも直美でした。
直美と私とは、中学の時からの付き合いでした。

直美も私も卓球部に所属していて、高校生のときにはインターハイにまで出場しました。

ダブルスを組んだのは高3になってからでしたが、相性がよかったのか破竹の勢いで他校を
圧倒して勝ち進みました。

そしてついに決勝、というところで、突然、直美が腹痛をおこしたのです。

そのようなドラマチックな出来事が起こりうるのだろうか、と思うくらい劇的に、
私たちは敗退しました。

そしてそれから後、直美が私の家に来るようになり、突然泊まっていくように
なったのでした。

「ねえ、泊めてくれる」「誰かに連絡してあるの?」
「家を出るとき、泊まるからって言ってきた」

(それって、初めから泊まるつもりで出てきたってことじゃない)
わが家では突然の泊まり客だったけれど、直美は最初から泊まるつもりで家を出てきたのです。

「それじゃ家を出るときに電話くらいしてよ」私が少し怒りながら言うと、
「いいじゃない、このベッドがあるんだから」

私の部屋の折りたたみベッドを、まるで自分のもののように勝手に広げています。
押入から布団と枕を取り出してきて、さっさとベッドに横になります。

私はというと、そんな直美には、もう何も言う気が起こらないのでした。
「今日は何があったの?」私が訊くと、直美はこっちを向いて、ぼそぼそと喋り始めます。

「あの人がどうの、この人がどうの」と、言っていたかと思っているうちに、
小さな寝息が聞こえ始めるのです。

ほんの一瞬でも、直美の話を真剣に聞こうと思ってしまった自分が馬鹿らしくなって、
私は「あ~あ」と、ため息を漏らします。

折りたたみベッドの中では、まるで自分の家にいるかのようにすやすやと、
直美が眠っています。

2012年1月7日 / タグ:[ , , ]