初詣とロフトベッドの思い出

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ベッドと私の楽しい関係

初詣とロフトベッドの思い出

毎年元日には、兄と初詣に行きました。
それは恒例行事で、私が中学1年生になったときから始まりました。

そのころ兄は大学に入ったばかりで、国際交流を勉強していました。

兄には大きな夢があって、世界中でいろいろな仕事をしたいというのが、
その最終目標のようでした。

いろいろな国でホームステイをして、その国々の言葉を学ぶことが、兄の第一の目標でした。
だから夏休みや冬休みになると、兄はたいてい家にはいませんでした。

そんな兄の部屋にある背の高いロフトベッドが、私のお気に入りでした。

いつもは絶対に貸してなど貰えないのですが、外国へ行っているあいだなら、と、兄が私に
そのロフトベッドを使うことを許してくれたのです。

兄の部屋は6畳の洋室でした。
けれど私の部屋は、両親のとなりの6畳の和室でした。

だから私にとって、兄の部屋そのものが憧れの部屋だったのです。
いつかは、その部屋を自分のものにしたいと、私は密かに思っていました。

そんな日々が、何年も続いていました。

兄のロフトベッドに寝転ぶと、窓ガラス越しに、近くの公園が見えました。
いつも、小さな子どたちがブランコや滑り台をして遊んでいました。

ときどきそんな光景を眺めながら、私はお気に入りの文庫本を読みました。
そしていつの間にか、夢の中へと入っていくのでした。

私は兄が好きでしたし、兄も私のことを、とても信頼してくれていました。

そんな兄が大学を卒業して、就職しました。
目標通り国際交流関係の仕事で、これまでよりももっと海外へ行く機会が多くなりました。

いまやもう、ほとんど日本にはいないといった状態でなのす。
でも、そんな生活の中でも、兄は元日だけは必ず日本で迎えました。

「お正月はやっぱり日本だよな」といって、母の作ったお雑煮を食べて、
それから私と2人で近くの神社へ初詣に行くのです。

私はそれが嬉しくて嬉しくて、毎日がお正月だといいな、と、まるでまだ幼子のように
いまでも思ってしまうのです。

ロフトベッドから、公園の木々の緑や子どもたちを眺めていると、いつも兄のことを
思い出します。

2012年1月1日 / タグ:[ , , ]